ニコニコ・ニュースレター 2017年05月号

応援します!元気な歯!    
    ニコニコ・ニュースレター           
      うちだ歯科医院 2017/05 第120号

5月になりました。先日の連休に糸島のハーブガーデンまで行ってきました。昼は汗ばむぐらい暑いですが夜はまだまだ寒いですね。
今月は世界口腔保健学術大会のシンポジウムからのお話です。

口腔と全身との関わりを考えてみると口には様々な働きがあります。
ガムを噛むことで眠気防止やストレス解消になる事が知られていますし、噛むことによって脳への血流量が増す事も知られています。ネズミの実験では「良く噛んで食べる餌」で育てられた方が記憶力に優るという結果も報告されています。
気心の知れた人とのおしゃべりでストレス解消ができたり、人に言葉や(キチンと歯を見せての)笑顔で意思を伝える事で心の健康がはかられるといったコミュニケーションの働きもあります。
「食事の美味しさ」には、見た目、香り、食べる場所やメンバーも大きく影響しますが、「味わい」に直接関係するのは、味、歯ごたえ、舌触りや喉越しです。それらは「適正量の唾液を分泌する唾液腺」「キチンと味を感じる舌」「確実に噛める歯」むせる事なくスムーズに飲み込める喉」が必要です。
アーチェリーや射撃の選手では歯の詰め物の高さが微妙に違うだけで成績が左右されるといいます。また噛み合せの正しい義歯を使っている高齢者は寝たきりになりにくいとの報告もある程、噛み合わせには体を支え、姿勢を安定させる働きもあります。ここで気をつけていただきたいのが「食事中の姿勢」です。足を組んだまま前かがみで、スマホに目をやりながら横すわりで、テレビを見ながら寝ころんで、といった姿勢で食事する事は「骨格と、消化を担当する内臓の位置関係」を歪ませ、顎の関節や内臓に負担をかけてしまいます。

人生ないし生活の質(QOL)と口腔疾患の間には深い関係がある事が研究によって明らかになってきました。中でも歯周病は、糖尿病、心臓病や血管の病気、脳卒中など全身の様々な病気に影響を及ぼす恐ろしいものです。歯周病によって最終的に歯を失うと、食べたい時に食べたいものが食べられなくなってしまい、QOLは確実に低下します。自分の歯の数としっかり噛めているかという事と、寝たきりになってしまう危険度に関連があるかどうかという研究では、歯が少なく充分に噛めない人は、入れ歯も含めて歯が20本以上あり咀嚼機能が良好な人に比べると、寝たきりになる危険度が最大で10倍にもなってしまう事がわかりました。そんな因果関係を踏まえると、単に歯を治療するためだけに歯科医院を受診をするのではなく、全身的な健康状態を良い状態に保つ為に歯や口腔内の治療をするという発想の転換が必要になってきます。
では何故、咀嚼機能が損なわれると寝たきりになってしまったり、要介護になってしまったりするのでしょうか?運動機能の低下により要介護となってしまうリスクが高まる状態の事をロコモティブ症候群といいます。骨の密度や筋肉量の低下に伴い代謝量が落ち、食欲が低下し低栄養になってしまう状態です。そして低栄養がさらなる筋肉量の低下を招き、どんどん負のサイクルに陥ってしまいます。
このロコモティブ症候群は咀嚼機能を含めた口の機能の虚弱化と重なってきます。歯周病などの口腔疾患によって、歯が少なくなったり噛むことが難しくなったりすると、以前のようには食べられなくなります。すると、栄養が次第に低下、炎症を抑えるビタミン類も減少し、全身の健康状態に少なからず悪影響をもたらすのです。
この様な負のサイクルに陥らない様にするにはどうしたらよいのでしょうか?
それは、原因の源流にさかのぼって口の中を清潔に保つことです。歯垢には、歯周病菌をはじめとする細菌がたくさん含まれています。その細菌をすべて取り除く事はできませんが、少ない状態に保ち、自身の免疫機能で細菌に悪さをさせない事が大切です。その為には定期的に歯科医院で歯科医師や歯科衛生士のプロのケアを受け、
プロの指導の下、自分に合った日々のセルフケアを行う。全身の健康の為には、それが一番望ましいという結論でした。