ニコニコ・ニュースレター 2023年01月号

応援します!元気な歯!    
    ニコニコ・ニュースレター           
      うちだ歯科医院 2023/01第187号

2023年1月号です。明けましておめでとうございます。年末は寒い日が続きましたが、お正月はいいお天気でしたね。
今年、始めは、むし歯と歯周病の話です。そもそもむし歯や歯周病とはどの様な病気でしょうか?
「痛くてズキズキする」「歯がポロポロかけていく」「歯がグラグラで噛めない」「歯ぐきが腫れたり、歯が抜けてしまう」といった症状を思い浮かべる方が多いと思います。
どの様な病気でも、治療の目的は病気の原因を取り除き、再発しない様にする事です。それが叶えられた時、病気は完治したと言えます。
では削って詰めたらむし歯は治ったと言えるのでしょうか?
歯石を取って歯ぐきの腫れがひいたら歯周病は治ったと言えるのでしょうか?
それは、大きな思い違いです。
むし歯や歯周病は、口の中にいる常在菌という細菌による慢性感染症という病気です。常在菌とは人間の身体に存在する細菌で、多くの人に共通してみられ、普段は病気を起こしません。歯垢やプラークと呼ばれる歯についた汚れの中には多くの種類の細菌が棲息しています。そして人間の免疫力が落ちた時や汚れの量が増えた時などに、それらの細菌の中のむし歯菌や歯周病菌がむし歯や歯周病を引き起こします。感染症が完治したという時は病原体(原因微生物)が完全にいなくなる事ですが、いつも口の中にいる常在菌ですので追い出せません。抗生物質を使えばといいと思われるかもしれませんが、抗生物質で完全に駆遂できるのは非常在菌といわれる病原性の細菌で、普段は病気の原因とならないむし歯菌や歯周病菌は常在菌ですので追い出せないのです。ですから、むし歯や歯周病に完治はありません
医療とは起こった病気を治療すること、長い間そう思われていました。しかし、現在は病気にならずに健康を維持・増進するための予防医療が当たり前になりつつあります。
今から35年前の1988年に東京のよみうりホールで予防歯科では世界的に著名なスウェーデンのアクセルソン博士という先生の講演を聴く機会がありました。その講演の中でとても印象深い話がありました。
「例えば、感染性の病気でその原因もよくわかっている病気があなたの指に感染しようとしている様な状況が仮にあったとします。そうなったら、恐らく医者に毎年通って患ってないか診てもらうでしょう。ところが3年から5年、医者に通い続けたにもかかわらず、指の半分は感染性の病気によって腐ってしまったと仮定します。医者は『こんなに腐ってしまいましたので指を切りましょう。代わりに黒い金属で指を作ってあげますよ。』と言いました。そして親指が切り取られてしまいました。さらに人差し指も切り取られてしまいました。この2本は手の中で一番大事な指のはずです。そんな時に友人あるいは隣人に『私は別のお医者さんにこの指が腐ってしまう病気についてはもう原因も予防法もわかっているからセルフケアで大丈夫と言われ、その通りにしたら私の指は全然腐らなかったよ。』と言われたとします。置き換えて考えてみますと口の中で一番大事な歯である大臼歯を失っている人があまりにも多いのではないでしょうか?そしてケアの仕方、予防法を知らない人が多いのではないでしょうか?予防こそ最も質の高い医療ではないでしょうか。」という話でした。
欧米の人は散髪屋や美容院に通うのと同じように歯科医院を訪れます。痛くなったからではなく、痛くならないために通うのです。2040年に日本の高齢者人口はピークを迎え、世界一の老人大国になります。2007年生まれの日本人が107歳まで生きる確率は50%だそうです。テレビやマスコミなどで予防歯科が語られている今、私達はむし歯や歯周病は予防できる事を知りました。歯周病と全身疾患には関連があるとの報道から、私達はお口の健康は命を支えている事を知りました。お口の不健康は全身のフレイルを招き、長い寝たきり生活が始まる事を見聞きし、私達は食べる事は生きる事である事を知りました。残念ですがむし歯や歯周病に完治はありません。これからは「削る・詰める・取り戻す」治療で機能を回復したら、「防ぎ、守る」予防医療が大切です。

今日は昨日よりいい笑顔!明日はもっといい笑顔!大人の笑顔は歯で決まる!