ニコニコ・ニュースレター 2023年02月号

応援します!元気な歯!    
    ニコニコ・ニュースレター           
      うちだ歯科医院 2023/02第188号

2023年2月号です。寒い日が続きますがお変わりないでしょうか?ロシアがウクライナに侵攻して1年になります。いつまで無意味とも思える戦争が続くのでしょうか?ウクライナの人々、特に子供たちの事を思うと心が痛みます。
さて、今月はお口のお掃除のお話です。
歯についている汚れ、磨き残しを歯垢(プラーク)と言います。ご存じの様にむし歯や歯周病の直接の原因です。食べ物のカスのように思われがちですが、実際はむし歯菌や歯周病菌をはじめとする微生物のかたまりです。微生物、細菌がパックになったものと思って下さい。プラーク1mgに1億個以上の微生物がいると言われています。そして、この微生物が絡み合い、共生して、悪さをしていきます。最近では、この微生物のかたまりはバイオフィルムとも呼ばれています。台所や浴室の排水溝などについたヌルヌルした、しつこい汚れを想像するといいでしょう。取り除くには、なかなか手ごわい相手です。排水溝などの汚れを落とすには、ブラシで落とすか、強力な洗浄剤を使わなければ落とせません。でも、口の中には、そんな強力な洗浄剤は使えません。そこでプラークを落とすには歯ブラシが必要になってくるのです。お部屋全体にパーっと掃除機をかけても結局汚れが溜まっているのは隅っこや凹みがある場所です。その汚れを落とすには専用の道具が必要です。だから歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)も必要です。
「歯を磨いている」と「歯が磨けている」は違います。
目を閉じて自分の手の指が何本あるかはご存知だと思います。どの指に指輪をして、どの指が逆剥けがあって痛いなど判ると思います。では自分の口の中に歯が何本あって、どこにどんな治療を受けているか、どこにどんな被せ物があるか、歯並びの関係でどこが磨きにくいかなどご存知でしょうか?
ただ歯磨き剤をたくさん付けて、歯ブラシでゴシゴシこすって、歯を磨いたつもりになっていないでしょうか?歯磨き剤の発泡剤や香料にだまされてスッキリした気分になっていないでしょうか?
プラーク、バイオフィルムを落とすのは大変です。
プラークを上手に落とすには、まず自分の口の中のリスク部位(磨きにくい場所、治療を受けた場所、歯周病が進んでしまった場所)を把握しなければなりません。今までは自分の口の中のリスク部位も把握せずに単に歯を磨く事だけが重要視されてきました。1日のうち、毎回丁寧に歯磨きできるとは限りません。ですからまずは自分の口の中の状態を把握して、忙しい時は全体をざーっと、時間のある時はリスク部位までしっかりと磨く様にしたら如何でしょうか?また自分にあった歯ブラシや歯間清掃用具で、効率的なブラッシング法を身につけると良いでしょう。
次に、歯磨きの前には歯ブラシを濡らさない方がいいという事はご存知でしょうか?
当たり前のように歯ブラシを濡らしてから歯磨きをしていませんか?水分が多いと歯磨き剤がよく泡立つので、あまり磨けていないのに磨けた気になってしまいがちです。また香料の効果でスッキリした気にもなってしまいます。しっかり磨くために乾いた歯ブラシで磨くといいですよ。
歯磨き後のゆすぎは少しの水で1回だけにしましょう。歯磨き剤の味がしなくなるまで、しっかりゆすぐと、せっかくの有効成分まで洗い流してしまいます。特にむし歯予防や知覚過敏防止などの薬効成分に期待する歯磨き剤を使っている場合は、口の中にその成分を残す為にも軽く1回ゆすぐだけにしましょう。
歯ブラシの寿命は歯ブラシを裏から見てみましょう。ヘッドから毛がはみ出て見えるようなら交換時です。毛先の広がった歯ブラシでは新しい歯ブラシの半分くらいしか汚れを落とせません。毛先の広がったホウキでは塵やゴミを集めにくいですよね。それと同じ理屈です。また、すぐに毛先が広がるのも問題です。力が入り過ぎている事が考えられます。毛先の硬い歯ブラシが好きな人やゴシゴシしないと磨いた気がしない人に多いです。力を入れすぎて磨くと歯ぐきが下がってしまったり、歯の根の部分が磨り減ったりして、知覚過敏や大人むし歯の原因を作ってしまいます。毛先の軟らかい歯ブラシを使う(今の歯ブラシは

柔らかくても充分コシがあるので
汚れは落とせます)、大きなストロークでなく小刻みに動かす、歯ブラシをしっかり握らずペングリップで持つなどといった工夫が必要です。
そして就寝前の歯磨きには1番時間をかけましょう。
就寝中は、抗菌作用や自浄作用のある唾液の分泌が少なくなります。夜寝る前の歯磨きを丁寧にする事で朝のお口の中の細菌数が違ってきます。朝、起きた時に口臭が強くなるのは雑菌の繁殖のせいなのです。歯を磨かずに寝ると、むし歯や歯周病のリスクが高まるのもこのためです。
また歯ブラシと一緒に使っていただきたいのが歯と歯の間の清掃用具です。
歯ブラシだけで汚れを落とした場合は歯間の汚れは6割程度しか落とせません。どうしても歯間ブラシやデンタルフロスは必要です。お話をすると「知っているけど時々しか使ってない」と言われる人も多いです。出来れば毎回使いましょう。歯ブラシを使う前に使う事をお勧めします。「歯間にはこんなにも汚れが残っているのか」と自覚出来ます。また隅々の汚れを掻き出してから全体をきれいにした方が効果的です。
予防は「やったもん勝ち」ですよ。
今日は昨日よりいい笑顔。明日はもっといい笑顔。大人の笑顔は歯で決まる!