ニコニコ・ニュースレター 2023年08月号

2023年8月号です。毎日、本当に暑いですね!先月7月は日本で気温を記録するようになった過去120年間で最も平均気温が高かったそうです。また国連でも地球温暖化のせいで、これからはこの暑さが平常のものになるだろうと発表していました。私たちもそれなりに対策を講じていかなければなりません。
この暑さの中で日々感じる疲れには身体的疲労や眼精疲労、心的疲労などがあります。これらはすべて脳にある自律神経の乱れ、すなわち脳が疲労する事から起こります。この状態を「脳疲労」といいます。特に日差しが強く暑い夏は注意が必要です。目に紫外線が入るとそれが脳に伝わり、体は紫外線から細胞を守ろうと臨戦体制になります。そうすると自律神経に負担がかかり、疲れが生じます。また暑さに対しても体温調節をしようと自律神経を酷使するので脳疲労を加速させてしまいます。この脳疲労を回復させる唯一の手段が「質の高い睡眠」です。なかなか眠れない時、「寝なければいけない」と焦ってしまうのは逆効果です。そのプレッシャーがリラックスを妨げて余計に眠れなくなってしまいます。短い睡眠時間でもしっかり休息した方が健康は維持できます。目を閉じているだけでも目を休めるのはもちろん、脳も休息状態になります。そんな重要な働きをする睡眠の質を高めるには眠りやすい環境、習慣を心がける事が大切です。室温は夏は26~28°C、湿度50%前後が理想とされています。ウトウトする快適な室温だそうです。就寝時は部屋の照明を消して暗くする方が睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されやすくなるのでいいでしょう。寝る前のスマホやパソコンは発せられるブルーライトで体内時計が乱されるので睡眠の質が低下してしまいます。使用は寝る2時間前までにしましょう。目を閉じる事で脳からα波が出て休息状態になります。また目周囲の筋肉が緩められリラックス効果もあります。日中、眠気を感じるなら短いお昼寝を取り入れましょう。ただし夜の睡眠に悪影響を及ぼさないように30分以内で午後3時以降は控えましょう。またアルツハイマー型認知症の原因の一つとされている脳の老廃物アミロイドβも睡眠により脳から排出される事も判ってきています。環境や習慣を見直して睡眠の質をアップしましょう。
さて、今月は水分補給についてお話します。「老化とは乾燥の過程である」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?皮膚でも血管でも加齢によって水分が減っていってしまいます。人の体の水分量は加齢と共に減少し、高齢の方では体重の50%くらいになってしまいます。一般に人の体重の60%は水分ですから、かなり減少してしまいます。また高齢の方の皮膚は水分を保つ力が減っているのでシワが目立つ様になるのです。
みずみずしい皮膚をした生まれたての赤ちゃんの場合は体重の75~80%が水分だと言われています。その後、徐々に細胞が増え、それと共に体の水分量も減少していきます。しかし子供は非常に活動的ですので体からの水分の出入りが多く、ことに下痢などすると脱水症状になってしまいやすいです。発展途上国の子供の死亡率が高いのは清潔な水が得られず、脱水症状になりやすいのも原因の1つなのです。
でも実際は脱水症状には水分の補給だけでは不十分なのです。
私たちの体の中には体液というものがあり、水分と塩分(電解質)からできています。血液や唾液、尿も体液の一部です。体液は、体温を調節したり、栄養素や酸素を運んだり、老廃物を排泄したりする働きをしています。体液の量は入ってくる量と出ていく量が一定に保たれているのですが、急激に汗をかいて過剰に水分と塩分が失われると、体内の体液が減って「脱水症」になってしまいます。
体液が不足すると、汗をかけなくなりますから体に熱がこもってしまいます。その結果、さらに体温が上昇。ついにはめまい、失神、頭痛、吐き気などが起こり、悪くすると死に至る事もあるのが「熱中症」です。「脱水症」になってから「熱中症」になっていくのです。
脱水症は水分と塩分が失われている状態ですから、水分と塩分を同時に補給する「補水」という処置が望ましいです。そして水分の吸収を速める為には糖質(ブドウ糖)が必要です。そこで、塩分と糖質が同時に摂取できるスポーツドリンクがいいという事になるのですが、その中に含まれる塩分(ナトリウムイオン)と糖質(ブドウ糖)のバランスによって吸収効率は大きく変わります。そこで、お勧めが経口補水液(ORS)です。医療関係者間では飲む点滴とさえ言われています。経口補水液を使う経口補水療法は開発途上国で生まれました。1971年の東パキスタンのインドの難民キャンプでは3人に1人がコレラによる脱水症で亡くなっ

ていました。この時カルカッタの大学研究所から経口補水液を持った医療班が救助に向かい3,700人の患者に経口補水療法を実施してコレラによる死亡率を30%から3.6%にまで激減させました。その後、経口補水療法は脱水しやすい環境になりつつある世界中の国々に広がり、今では「20世紀最大の医学上の進歩」とまで言われています。
日本でも知名度があがり経口補水液は薬局やドラッグストアで安価で手に入ります。簡単に買えて水分と塩分を素早く補給でき、初期の脱水症状からの回復に役立つ便利な飲料です。
補水する時に、糖質(ブドウ糖)の濃度は1~2%の時が水分が最も吸収されやすいと言われています。スポーツドリンクの場合、糖質(ブドウ糖)の濃度は6~10%もあります。ですから、スポーツドリンクは甘くて美
味しいのですが、思ったほど補水できてないと考えられます。また、糖質が多いのでスポーツドリンクを水がわりに常飲するとむし歯のリスクも高まってしまいます。
熱中症の予防としては、日常生活や軽い運動でちょっと喉が渇いたくらいなら、お水やお茶で十分です。多量に汗をかいたり、脱水気味の時には経口補水液を飲むといいでしょう。
今年は10月頃までこの暑さが続くと言われています。正しい知識を持って経口補水液を是非お役立て下さい。
炎暑でも、今日は昨日よりいい笑顔!明日はもっといい笑顔!大人の笑顔は歯で決まる!!